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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)3748号 判決 1969年4月25日

(一)本店の所在地

大阪市東成区東今里町一丁目八番地

名称

株式会社小角製作所

代表者の氏名

小角利幸

(二)本籍

大阪市東成区東今里町一丁目八番地

住居

右に同じ

職業

会社役員

氏名

小角利作

年令

明治三一年六月三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤松次出席の上審理を遂げ、次のとおおり判決する。

主文

被告人株式会社小角製作所を罰金一〇〇〇万円に、被告人小角利作を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人小角利作に対し、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社小角製作所は、大阪市東成区東今里町一丁目八番地に本店を置き洋傘骨およびショールの製造販売業を営むもの、被告人小角利作は、被告人株式会社小角製作所の設立された昭和二九年二月五日から昭和四三年八月二二日までの間その代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人小角利作は、被告人株式会社小角製作所の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度において、所得金額が六九二八万七三九七円、これに対する法人税額が二五〇九万九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、架空の外注費等を計して、その支払いをしたように仮装し、これによつて得た資金を架空名義予金として簿外に留保するほか、棚卸資産を一部除外する等の不正行為により、右所得金額中五八一〇万四七六八円を秘匿したうえ、昭和四一年三月三一日大阪市浪速区浪速税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が一一一八万二二六二九円、これに対する法人税額が三六〇万一三一〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二一四八万九六〇〇円を免れ、

第二、昭和四一年二月一日から昭和四二年一月三一日までの事業年度において、所得金額が一億四六九二万 八〇五六円、これに対する法人税額が五〇三七万一七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一億〇八五三万二二〇七円を秘匿した上、昭和四二年三月三一日前記税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三八三九万五八四九円、これに対する法人税額が一二三九万四八三〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税三七九七万六八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の事実全部につき

一、被告会社の登記簿謄本

一、大蔵事務官藤山寅夫作成の昭和四三年一月一八日付証明書(二通)

一、次の者らに対する収税官吏の質問てん末書

北村統(昭和四二年四月二〇日付、同年七月四日付、同年八月三〇日付の分合計三通)

大島彦也 竹内隆雄 竹村竹之衛

一、次の者ら作成の「確認書」と題する各書面

杉井棟良 横田裕 桜井修(三通)

土井義晃 米原重男 中島勝(二通)

吉川竹三

一、次の者ら作成の「上申書」と題する各書面

上原力ほか二名 北村統ほか六名 北村統(二通)

一、押収にかかる在庫表綴一綴

一、同外注関係フアイル一四綴

一、同単価表一綴

一、同外注先元帳一綴

一、同銀行勘定帳一綴

一、同領収証六綴

一、同納品伝票一綴

一、同請求書三冊

一、同領収複写簿二冊

一、同納品書四冊

一、同売上帳一綴

一、同請求複写簿二冊

一、同決算報告書準備書類一綴

一、同決算資料綴一綴

一、同支出伝票一綴

一、同手形受払帳一冊

一、同代金取立手形通帳一冊

一、同当座勘定受入副報告書二葉

一、同割引手形計計算書三葉

一、同代金取立手形受託通帳一冊

一、同仕入先元帳一綴

一、同銀行勘定帳一綴

一、被告人小角利作の当公判廷における供述

一、同被告人に対する収税官吏の質問てん末書(合計九通)

一、同被告人の検察官に対する供述調書(合計三通)

(法令の適用)

被告会社関係

判示の各事実につき それぞれ法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項

(併合罪) 刑法第四五条前段、第四八条第二項

被告人小角利作関係

判示の各事実につき それぞれ法人税法第一五九条第一項(懲役刑選択)

(併合罪) 刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重をする。)

(刑の執行猶予)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

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